WAF Web ACLをCloudFrontに適用する

目次

WAF Web ACLをCloudFrontに適用する

AWS WAFは以下の4種類のリソースに適用することができます。

  • ALB
  • CloudFront
  • API Gateway
  • AppSync

今回はCloudFrontに適用する方法を確認します。

なおWAFをALBに適用する方法については、以下のページをご確認ください。

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WAFをAPI Gatewayに適用する方法については、以下のページをご確認ください。

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WAFをAppSyncに適用する方法については、以下のページをご確認ください。

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構築する環境

Diagram of applying WAF Web ACL to CloudFront.

WAF Web ACLを作成します。
地理制限を行います。
具体的にはルールグループを自作し、その中に日本(JP)からのアクセスをブロックするルールを設定します。
作成したWeb ACLをCloudFrontに適用します。

CloudFrontディストリビューションを作成します。
オリジンにS3バケットを指定します。
CloudFrontにOAIを作成し、S3バケットポリシーでOAIからのアクセスのみを許可する制限を行います。

Lambda関数を作成します。
この関数をCloudFormationカスタムリソースとして設定します。
この関数の働きですが、スタック生成・削除時に、自動的にバケットにオブジェクト生成・削除を実行するように設定します。
生成するオブジェクトは静的ウェブサイトホスティング用のindex.htmlとします。
関数のランタイムはPython3.8とします。

CloudFormationテンプレートファイル

上記の構成をCloudFormationで構築します。
以下のURLにCloudFormationテンプレートを配置しています。

https://github.com/awstut-an-r/awstut-fa/tree/main/051

テンプレートファイルのポイント解説

本ページでは、CloudFrontにWAFを適用する方法を中心に取り上げます。

WAFの基本的な事項については、以下のページをご確認ください。

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WAFで地理制限する方法については、以下のページをご確認ください。

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CloudFrontのオリジンにS3バケットを指定し、OAIを使用する方法については、以下のページをご確認ください。

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CloudFormationのカスタムリソースについては、以下のページをご確認ください。

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CloudFrontに適用するWAFを作成するリージョン

CloudFrontにWAFを適用する際に、最初に気をつけるべきポイントはWAFを作成するリージョンです。

For CLOUDFRONT, you must create your WAFv2 resources in the US East (N. Virginia) Region, us-east-1.

AWS::WAFv2::WebACL

上記の通り、CloudFrontにWAFを適用する場合は、リージョンに制限がありますのでご注意ください。

Web ACL

Resources:
  RuleGroup:
    Type: AWS::WAFv2::RuleGroup
    Properties:
      Capacity: 10
      Name: !Sub "${Prefix}-GeoRestrictionRuleGroup"
      Rules:
        - Action:
            Block: {}
          Name: !Sub "${Prefix}-GeoRestrictionRule"
          Priority: 0
          Statement:
            GeoMatchStatement:
              CountryCodes:
                - JP
          VisibilityConfig:
            CloudWatchMetricsEnabled: true
            MetricName: !Sub "${Prefix}-GeoRestrictionRule"
            SampledRequestsEnabled: true
      Scope: CLOUDFRONT
      VisibilityConfig:
        CloudWatchMetricsEnabled: true
        MetricName: !Sub "${Prefix}-GeoRestrictionRuleGroup"
        SampledRequestsEnabled: true

  WebACL:
    Type: AWS::WAFv2::WebACL
    Properties:
      DefaultAction:
        Allow: {}
      Name: !Sub "${Prefix}-WebACL"
      Rules:
        - Name: !Sub "${Prefix}-WebACL-GeoRestriction"
          OverrideAction:
            None: {}
          Priority: 0
          Statement:
            RuleGroupReferenceStatement:
              Arn: !GetAtt RuleGroup.Arn
          VisibilityConfig:
            CloudWatchMetricsEnabled: true
            MetricName: !Sub "${Prefix}-WebACL-GeoRestriction"
            SampledRequestsEnabled: true
      Scope: CLOUDFRONT
      VisibilityConfig:
        CloudWatchMetricsEnabled: true
        MetricName: !Ref Prefix
        SampledRequestsEnabled: true
Code language: YAML (yaml)

Web ACLとACL用のルールグループを定義し、地理制限を設定します。
ポイントは両リソースのScopeプロパティです。
このプロパティの設定方法については、以下の通りに説明されています。

Specifies whether this is for an Amazon CloudFront distribution or for a regional application. A regional application can be an Application Load Balancer (ALB), an Amazon API Gateway REST API, or an AWS AppSync GraphQL API. Valid Values are CLOUDFRONT and REGIONAL.

AWS::WAFv2::WebACL

今回はCloudFrontにWAFを適用しますので、本プロパティに「CLOUDFRONT」を設定します。

CloudFront

Resources:
  Distribution:
    Type: AWS::CloudFront::Distribution
    Properties:
      DistributionConfig:
        DefaultCacheBehavior:
          AllowedMethods:
            - GET
            - HEAD
          CachedMethods:
            - GET
            - HEAD
          Compress: true
          ForwardedValues:
            Cookies:
              Forward: none
            QueryString: false
          TargetOriginId: !Ref BucketName
          ViewerProtocolPolicy: allow-all
        DefaultRootObject: index.html
        Enabled: true
        Origins:
          - DomainName: !Ref BucketRegionalDomainName
            Id: !Ref BucketName
            S3OriginConfig:
              OriginAccessIdentity: !Sub "origin-access-identity/cloudfront/${OAI}"
        PriceClass: PriceClass_All
        WebACLId: !Ref WebACLArn
Code language: YAML (yaml)

ポイントはWebACLIdプロパティです。
このプロパティに先述のWAFのARNを指定します。

ALBに対してWAFを適用する際は、AWS::WAFv2::WebACLAssociationリソースを作成し、これに両者のARNを指定する方法で関連付けました。
以下の引用の通り、CloudFrontの場合はこのリソースは使用しませんのでご注意ください。

For Amazon CloudFront, don’t use this resource. Instead, use your CloudFront distribution configuration. To associate a web ACL with a distribution, provide the Amazon Resource Name (ARN) of the AWS::WAFv2::WebACL to your CloudFront distribution configuration.

AWS::WAFv2::WebACLAssociation

環境構築

CloudFormationを使用して、本環境を構築し、実際の挙動を確認します。

CloudFormationスタックを作成し、スタック内のリソースを確認する

CloudFormationスタックを作成します。
スタックの作成および各スタックの確認方法については、以下のページをご確認ください。

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CloudFormationのネストされたスタックで環境を構築する 【CloudFormationのネストされたスタックで環境を構築する方法】 CloudFormationにおけるネストされたスタックを検証します。 CloudFormationでは、スタックをネストす...

今回はスタックを作成するリージョンに気をつけてください。
AWS CLIでスタックを作成する場合、以下で示したコマンドの通り、regionオプションでus-east-1リージョンを指定してください。

aws cloudformation create-stack \
--stack-name [stack-name]
--template-url https://[bucket-name].s3.[region].amazonaws.com/[folder-name]/fa-051.yaml
--capabilities CAPABILITY_IAM
--region us-east-1
Code language: Bash (bash)

各スタックのリソースを確認した結果、今回作成された主要リソースの情報は以下の通りです。

  • S3バケット:fa-051
  • CloudFrontディストリビューションのドメイン:https://d1pvh6f3ahqkqz.cloudfront.net/
  • WAFの名前:fa-051-WebACL

AWS Management Consoleからもリソースを確認します。
まずCloudFrontです。

WAF Web ACLs are applied to CloudFront.

CloudFrontディストリビューションが作成され、AWS WAFが適用されていることがわかります。

次にWeb ACLを確認します。

WAF for CloudFront is created in the Global region.

Web ACLが「Global(CloudFront)」のリージョンに作成されている点がポイントです。
CloudFormationスタックを作成したus-east-1ではありませんのでご注意ください。

WAF Web ACLs are applied to CloudFront.

Web ACL側からも、このACLがCloudFrontに適用されていることがわかります。

動作確認

準備が整いましたので、日本からCloudFrontにアクセスします。

Access to CloudFront was blocked.

アクセスが拒否されました。
日本からアクセスしたため、CloudFrontに到達する前に、WAF Web ACLによってフィルタリングされたということです。

確認のために、地理制限のアクションを変更します。

WAF action changed from block to count.

ルールのアクションをブロックからカウント、つまりルールは生かしつつ、ルールに該当するトラフィック数を数えるだけに変更しました。

改めてCloudFrontにアクセスします。

CloudFront was accessible.

CloudFrontにアクセスできるようになりました。
ルールのアクションがブロックからカウントだけになり、アクセスが可能になったためです。

まとめ

WAF ACLをCloudFrontに適用する方法を確認しました。

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